肥満は人間だけでなく犬にとっても大きな問題です。RSPCAの調査によれば、犬の40%以上が太り気味または肥満と言われており、これはかなりの数です。また、ニューサウスウェールズ大学の最近の調査でも、飼い主の半数以上がまったく散歩に連れて行っていないということが分かっています。
ペットも人間と同じよう肥満傾向にあります。この機会に私たち自身と愛犬のためにも犬の散歩について少し考えてみましょう。
なぜ犬の散歩をする必要があるのでしょうか?- 犬の散歩の7つのメリット
1.関節の健康維持
違和感があるかもしれませんが、たとえシニア犬であっても、散歩をすることは関節の健康にとってメリットがあります。定期的に散歩をすることで、関節の働きや健康な機能を維持することができます。それは「使わなければダメになる」という方が分かりやすいかもしれません。また、栄養面からも健康な関節の維持をサポートできます。グルコサミンやコンドロイチン、オメガ脂肪酸を含む食事を与えることで、関節の健康をサポートすることができます。
2.体重管理
どんな運動だとしても1日のエネルギー消費量は増えますし、十分な散歩をすることは間違いなく体重管理にも有効です。当たり前のことですが、健康的な体重を維持するためには、私たちも愛犬も1日の消費カロリーと摂取カロリーが同レベルである必要があります。当然、摂取カロリーが消費カロリーを上回っている場合は肥満の原因となります。散歩のペースがゆっくりすぎる場合や、太り気味が解消されない場合は、軽いジョギングやランニングをしてみましょう。特にウォーキング(散歩)は、激しい運動をせずとも筋肉量を維持できる優れた方法です。
3.消化や泌尿器の健康維持
散歩による適度な運動で健康な消化をサポートし、また愛犬がおしっこをすることで定期的に膀胱を空にさせるというメリットもあります。愛犬が定期的に用を足すことができない場合、感染症なるリスクが高くなります。散歩に行くことは、消化や泌尿器の健康を保つためにも役立ちます。
4.メンタルヘルス
人間は普通一日中家にこもっていないように、犬も一日中家にいるのは健康に良くありません。愛犬の生活に変化を与えることは、愛犬だけでなくあなた自身にとっても良い刺激になります。脳もまた他の筋肉と同じように、定期的に刺激を与えないと発達してくれません。散歩は、愛犬に新しい刺激を与えるのに最適な方法で、新しい景色、匂い、音、触感という形でたくさんの刺激を与えることができるのです。犬が遊べる公園やビーチ、ハイキングやトレイルウォークなど、さまざまな場所に連れて行ってあげるとより効果的です。きっと愛犬だけでなく、飼い主も外に出るのが楽しくなると思います!
5.社会性を身につける
あまり社交的でなく、他の犬や人に会わせるのが大変だという犬が、あなたの周りにもいるのではないかと思います。発育の早い段階(生後9~12週間)でさまざまな社会的環境を体験させることは、正常な行動発達を妨げないためにも大切なことです。大きな庭で走り回ることができれば、身体的な運動という意味では良いことですが、愛犬が学ぶべき社会的な交流を得ることはできません。
- ワクチンの接種が済んでいれば、ドッグランや犬友グループでの散歩、ドッグフレンドリービーチなどに連れて行くと良いでしょう。他の犬や人間との関わることに慣れることができます。
- 犬のお散歩関連のサービスはさまざまなものが用意されています。中にはドッグアドベンチャーというサービスもあり、他の犬たちと一緒に愛犬を冒険の旅に連れて行ってくれます。時間がなくても、犬に社会的な機会や楽しみを与えたいと思っている人には最適な方法かもしれませんね。
- ただ、人間と同様、すべての犬が社交的であるとは限らないため、犬に他の犬と遊ぶことを強制してはいけません。中に入って一緒に遊ぶよりも一人で見ている方が落ち着くという性格かもしれませんし、犬よりも人間と一緒に過ごすことが好きなだけかもしれませんから、その犬の性格もよく観察してあげると良いでしょう。
6.しつけを教える
散歩に行くことは、しつけやトレーニングを実践する絶好の機会でもあります。犬がリードを引っ張ったり、呼び戻しのコマンドを無視したり、人を追いかけたりするのはよくあることですが、毎日の散歩で根気強く教えてあげましょう。散歩中にリードを引っ張らないようしたり、呼び戻しの指示に応答できる、などの基本的なしつけは、犬と人が一緒に過ごす上で大切なことです。時間をかけて正しくトレーニングしていきましょう。出来るだけ犬が幼いうちからトレーニングを始めてください。最初は、犬の気が散る環境は避けて、自宅など静かな場所でこれらのしつけを練習するのも良い方法です。
7.退屈を解消するために。
当然ながら、犬も退屈だと感じることがあります。散歩は、犬の余ったエネルギーを消費してくれますし、退屈によって溜まったストレス発散してくれます。退屈して落ち着かないことがしつこくせがんだり、無駄吠え、過度な噛み癖、地面を掘る、逃げる、物を壊すなどの困った行動を引き起こすきっかけとなっているかもしれません。これらの行動は、犬のエネルギーが有り余ってストレスフルになっていることを示すサインです。毎日の散歩は、ストレスを解消すると同時に、心と身体に様々な刺激をもたらしてくれます。また、日中にエネルギーをしっかりと消費することで、犬が夜よく寝るようになるというプラスの効果もあります。おかげで、飼い主も夜よく眠れるようになるかもしれませんね。
ワクワクするような体験を!さあ、はじめてみよう!- どのくらい犬を散歩させればよいでしょう?
もし犬がこの質問に答えられるとしたら、"永遠に!"と言うかもしれませんね。
これはとても良い質問で、散歩の時間は、犬種、年齢、健康状態によって異なります。例えば、関節に問題があるシニア犬なら、健康なボーダーコリーの成犬と比べて、はるかに少ない時間かつ強度の低い運動に調整してあげる必要があります。定期的な散歩は、それぞれのペットに合わせた低負荷の運動のオプションとしても適しています。週末に何時間もかけて長時間の散歩をするよりも、定期的な運動(例えば、毎日短めの散歩)を習慣にする方が良いでしょう。
でも、仕事やその他の理由で、毎日の運動に時間を割くことができない場合もありますね。そんなときは、家族や友人、ドッグウォーカーさんなどに協力してもらい、愛犬が外に出る機会を確保するための方法を検討してみましょう。あなたに合った方法があるはずです。
散歩で気をつけるべきポイント
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熱中症のリスク
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熱中症は、多くの犬にとって現実的な問題であり、命に関わることさえあります。犬は人間とは異なる方法で体温を下げるため、高温に弱くすぐに参ってしまいます。ですから、日中の最も暑い時間帯の散歩は避けるようにしましょう。散歩に行くことを迷う場合は舗装道路に触れてみてください。もしあなたが熱いと思う場合は、犬の足にも熱すぎるということです。熱い日には、水をたくさん持って、できるだけ日陰を歩くようにしましょう。パグやフレンチブルドッグのような短頭種(鼻が短い)の犬は、自分で体温を調整するのが苦手でm熱中症になりやすいので、特に注意が必要です。
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太り気味の犬やシニア犬の場合
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太り気味の犬やシニア犬にも散歩は適した運動ですが、犬の能力に合わせて調整してあげる必要があります。どのくらいが適切なのか分からないときは、かかりつけの獣医師に相談しましょう。いきなり強度の高い運動を始めるのではなく、まずはゆっくりペースの運動強度の低い散歩から始めて、慣れてきたら徐々に距離や難易度を上げていきましょう。また、太り気味の犬やシニア犬には関節の問題がつきものなので、関節や体重をサポートするための栄養成分を配合した食事を与えるようにしましょう。
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ひろい食いに注意
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犬は身体能力も優れていますが、嗅覚はさらに優れています。人間には、生垣の下や排水溝の中にに何があるかや、角を曲がったところに何があるかなど全くわかりませんが、犬には分かるのです。特にリードを外して散歩させるときなどは、犬をよく観察して、犬にとって有害なもの(有毒なものや、喉に詰まる可能性のあるもの)を食べさせないよう注意してください。例えば、公園では、他人が残したゴミや食べ物が犬にとって危険な場合があります。チョコレートや、レーズン、ブドウなどはありふれたピクニック用の食べ物ですが、犬にとっては非常に危険な食べ物です。ビーチにも、クラゲや死んだ動物など危険なものがあります。釣り針も危険ですので注意が必要です。ハイキングやビーチに行く場合など、問題が起きた場合に近くで獣医師を見つけるのが難しいかもしれませんので、特に注意がしてあげてください。
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食事をあげるタイミング
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親に「食後に泳ぐときは30分待つように」と言われたことはありますか?実は犬も同じで運動の前に食事を消化する時間が必要です。基本的には、運動の直前や直後に大量の食事を与えないようにしましょう。場合によっては、鼓腸症などの問題につながることもあります。
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愛犬と一緒に散歩に行くことは、身体的にも精神的にも愛犬と飼い主の健康を維持するための素晴らしいアクティビティです。外に出て愛犬との時間を一緒に楽しみましょう。